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100年、麹屋3代 |
1950年鹿児島市に100年続く麹屋の3代目として生まれる。鹿児島ラサール学園から東京大学農学部入学。 77年同大学院修士課程(農学部応用微生物研究所)修了。卒業と同時に郷里に帰り、㈱河内源一郎商店入社。87年代表取締役。88年錦灘酒造㈱代表取締役。同年「日経先端技術賞」受賞。99年「源麹研究所」設立。
09年「麹菌の畜産に及ぼす効果についての研究」で博士号取得。同年環境大臣賞受賞。11年機械工業会会長賞受賞。麹の秘められた力を求めて研究・実践に明け暮れている。
源麹研究所
http://www.genkoji.com/
世界最先端を走る麹技術
http://www.kojikin.com/
麹は食べ物を美味しくします。焼酎造りの杜氏(職人)さんはその秘密を良く知っています。
ほんの一部ですが、そうした秘伝の知恵をみなさまに公開します。
大根、白菜、キャベツ、きゅうりなどをよく洗い、目分量でその10分の1ほどの塩麹を入れて揉みます。 ジッパーつきの袋などでなるべく真空状態にして、冷蔵庫でひと晩寝かせれば、あっという間に美味しいお漬物ができます。
ご飯を炊くときにお米3合に塩麹を大さじ1杯入れます。すると、お米の照りがまったく違ってメチャメチャ美味しくなります。そして、なんともいえないうま味も加わります。例えていうと、美味しい塩おにぎりの味でしょうか。
簡単です、塩麹を塗るだけ。ものの5分もしないうちにうま味がバーッと溶け出してきます。 使用前と後の美味しさの違いを感じてみてください。そして、とっておきレシピをもうひとつ。残り物のお刺身を塩麹に漬け込んで冷蔵庫にひと晩。翌朝、ホカホカのご飯の上にこれをのせてお湯をかけて食べます。最高のお茶漬けになります。
豚のもも肉やすね肉は硬いと敬遠されがちですが、よく使われる部位である分、ストレスの毒が他の部位よりも少なく、食べるには健康的です。これをスライスしてナマの甘酒に漬け込むと、肉は麹の働きで柔らかくなり、うま味となるアミノ酸がいっぱい出てきます。 ひと晩漬けておいて、翌朝、生姜焼きにするか、あるいはタマネギと一緒に煮込んでもいいでしょう。これをかけた「豚丼」の美味しさは格別です。
ガーゼにくるんで塩麹の中に漬けます。豆腐の水分が外に出て、かわりに塩麹の酵素が豆腐の中に入っていきます。すると、酵素が豆腐のタンパク質を分解して、うま味となるアミノ酸を出します。 豆腐がきゅっと締まり、最後には高野豆腐のように硬くなります。これは最高の酒の肴になります
たまごの黄身を2日ほど塩麹に漬けると、半熟状に固まります。これが麹たまごです。それをそのままいただきます。まったりとした触感にうっすら塩味がきいた、えも言われぬ逸品となります。
ブームのあおりを受けて、残念なことに、いい加減な塩麹が出回っています。麹が本来持っている
酵素の力がほとんどなくなっているのがニセモノです。ニセモノにだまされないためのポイントは?
麹は人の健康や病気の予防の面で、とんでもない力をもっています。
ひと言でいうと、「身体の持つ本来の機能をみがく」働きです。
歯ブラシに塩麹を少し塗って歯を磨きます。 そうすると、塩麹に含まれる酵素が歯に付着した有機物を分解してくれるのです。その上、麹の抗酸化作用で歯周病の予防にもなります。ただし塩麹には米由来の糖分が含まれているので、磨いたあとのすすぎはしっかりやりましょう。
更年期障害は、女性ホルモンがある時期ガクンと減ることで出てくるストレスから来ます。 麹に含まれているある物質(ブトキシブチルアルコール)がストレスホルモンの分泌を抑えることが分かってきました。この物質を濃縮した「麹ニンニク」は更年期障害の抑制に効果を発揮しています。
焼酎の杜氏さんにガン患者が見当たらなかったことから、それは「もろみ」(焼酎の原液)を毎日直接ペロリと舐めているからではないかという考えに至りました。 それをヒントにして「前立腺の友」という麹ドリンクは生まれました。このドリンクを飲んで、インフルエンザに負けなくなった、前立腺がんが消えた、咽頭ポリープが消えたというような例証が報告されています。
マッコリとは本来、米や小麦を使って麹をつくり、それに酵母と乳酸菌を加えてアルコール発酵をさせたものです。大事なのは、酵母が生きているので味はどんどん変わっていくこと。 大量生産・大量販売の時代においては“味の変化”は許されないため、残念ながら、市販のマッコリのほとんどはホンモノとは程遠いものになっているのが現状です。ホンモノはこんなもんじゃないと造った「源一郎さんのマッコリ」。 できたてのときはアルコール分2%程度の甘みの強い飲み物で、日を置くに従ってだんだん酵母によるアルコール発酵が進み、甘味が減り、1〜2週間でアルコール分8%程度の酸味の強いお酒に変わっていきます。 発酵の過程で異なる味わいを楽しむ--それがマッコリを飲む醍醐味です。生きた酵母と乳酸菌によって、ホンモノのマッコリには、便秘になりにくい、朝のお通じが良くなる、肌がツヤツヤするといった効果があります。
他にも…
などがあります。
麹の持つ素晴らしいちからは、食べ物や人間の健康に対する効能のみならず、
環境問題への応用も可能です。いくつかの事例をご紹介します。
養豚場の悪臭は、実は大きな社会問題になっています。日本に毎月2000トン以上の豚肉を輸出しているチリのある養豚場では、その悪臭が原因で暴動が起こりました。日本もその問題は例外ではありません。 そこで開発したのが「麹リキッドフィード」という飼料です。この中には麹が生産する酵素がたくさん含まれているため、酵素の力で食べた飼料がほぼ完全に消化されます。だから排泄物が腐敗せず臭くならないのです。 また、排泄物には麹菌が生育していて、すぐに発酵がはじまります。豚舎の床に敷き詰めた木屑と混ざると、それは堆肥へと変わります。つまり、豚舎そのものが堆肥製造工場に生まれ変わるのです。
スーパーやコンビニなどから出る食べ残しは膨大な量になっています。これを加工して家畜のえさなどに再利用する取り組みを「食品リサイクル」といいます。 しかし、鳴り物入りで建設された食品リサイクル工場が巨額の赤字を計上して倒産したように、費用がかかるわりに飼料としての再利用がうまく進んでいないのが現状です。 ここでも、麹菌を使えば実に安価に食べ残しを飼料化できることがはっきりしました。品質的にも優れており、麹を使った飼料を与えた豚が、通常の飼料を食べた豚よりも、2割以上も体重が増えたという良好な実験結果が得られています。 食べ残しを麹菌で飼料化し養豚場に供給する。そして、その排泄物からできた堆肥をそのまま近隣の有機農法の農家に運び再利用する。このような理想的な「リサイクル・ループ」がすでに実践されています
他にも…
などがあります。
ストレスは万病のもと。人間のストレス解消に麹が役立つのではないか―
これが、現在の研究の到達地点であり、大きなテーマです。
養豚場の悪臭は、実は大きな社会問題になっています。日本に毎月2000トン以上の豚肉を輸出しているチリのある養豚場では、その悪臭が原因で暴動が起こりました。日本もその問題は例外ではありません。 そこで開発したのが「麹リキッドフィード」という飼料です。この中には麹が生産する酵素がたくさん含まれているため、酵素の力で食べた飼料がほぼ完全に消化されます。だから排泄物が腐敗せず臭くならないのです。 また、排泄物には麹菌が生育していて、すぐに発酵がはじまります。豚舎の床に敷き詰めた木屑と混ざると、それは堆肥へと変わります。つまり、豚舎そのものが堆肥製造工場に生まれ変わるのです。